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ノーベル化学賞を受賞したドイツの科学者であるオストワルトによって1920年頃に発表された表色系。
あらゆる色は「白(W)」「黒(B)」「純色(F)」を適当な面積比で回転混色すると作ることができるということが前提となっている。
W(理想的な白) + B(理想的な黒) + F(理想的な純色)=100(%) |
理想的な「白」は光を100%反射し、理想的な「黒」は光を100%吸収し、理想的な「純色」(オプティマルカラー)は必要な波長域の光だけを完全に反射し、不必要な波長域では全て吸収して光を全く反射しない。
オストワルト表色系には明度や彩度という概念はなく、明度は「白色量」、彩度は「純色量」で表す。全ての明るさや鮮やかさは「白」と「黒」と「純色」の割合(混合比)で決まる。
混色量の共通性に基づいた色彩調和の考え方は、PCCSのトーンによる調和にもつながり、ドイツの標準色表「DIN表色系」はオストワルト表色系が基になっている。
● 色相環
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オストワルト表色系の色相環は、ヘリングの反対色説の原色であり、混色すると無彩色になる「物理補色」である「赤(Red)と緑(Sea Green)」「黄(Yellow)と青(Ultramarine Blue)」の2対の反対色を円周上に直交し、更にその4色の間に「橙(Orange)・紫(Purple)・青緑(Turquoise)・黄緑(Leaf Green)」の4色を配置して8色相とし、それぞれの色相を三分割して24色相とした。
この色相環は、スペクトルの色が反時計回りの方向に並べられており、PCCSやマンセルの色相環とは色が逆回りに配置されている。 |
● 無彩色の段階
なだらかな無彩色の段階を作るために、「ウェーバー・フェヒナーの法則」の「刺激が等間隔で変化して感じられるためには、刺激は等比級数的に増えていかねばならない」を白と黒の混色比に採用した。
例えば、1という等しい間隔になっている1,2,3,4,5・・・を実現するためには、1,2,4,8,16・・・という同じ比(2倍)の刺激が必要であるということであるのだ。
無彩色の系列は、一つおきのアルファベットで以下のように表す。
記号 |
a |
c |
e |
g |
i |
l |
n |
p |
白色量(W) |
89 |
56 |
35 |
22 |
14 |
8.9 |
5.6 |
3.5 |
黒色量(B) |
11 |
44 |
65 |
78 |
86 |
91.1 |
94.4 |
96.5 |
白(W) + 黒(B) |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
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● 等色相面
オストワルト表色系の等色相面の色は、「白」「黒」「純色」を適切な割合で混色して作られており、どの色相でも「白」「黒」「純色」を頂点とする正三角形(等色相三角形)になっている。
白と黒の間の無彩色は8段階に設定され、同様に、純色と白・黒の間も8段階になっている。
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純色と黒を結んだ辺に平行な色では、含まれる白色量は等しくなっている。 |
純色と白を結んだ辺に平行な色では、含まれる黒色量は等しくなっている。 |
等色相三角形の垂直になった無彩色の系列に平行な列で、等白系列や等黒系列とは違い、純色量が同じ量になっているわけではない。
一定になっているのは、「オストワルト純度(純色量:F/白色量:W)」である。 |
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白色量と黒色量が同じで、色相だけが
違った色の仲間。
これらの色を表すアルファベットの組み合わせは同じで、
無彩色からの距離も等しい。 |
● 色立体
オストワルト表色系の当色相面は、どの色も「白」「黒」「純色」を頂点とする正三角形のため、無彩色軸を中心に各色相を集めると、色立体は二重円錐形になる。
● 色表示
オストワルト表色系では、有彩色の場合、「色相番号」「白色量記号」「黒色量記号」を連記することにより色を表示する。
有彩色表示の例 |
20gc |
「色相番号:20」、「白色量:g(22)」、「黒色量:c(44)」 により、
100 |
- |
白色量(W) |
- |
黒色量(B) |
= |
純色量(F) |
100 |
- |
22 |
- |
44 |
= |
34 |
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無彩色表示の例 |
g |
「白色量と黒色量を表す記号(アルファベット1文字)」 |
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● 色票集
オストワルト表色系の代表的な色票集は、オストワルトの死後にアメリカのコンテナー・コーポレーション・オブ・アメリカから発行された「カラーハーモニーマニュアル」である。
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