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サザエさん 父が亡くなり、もう3年がたつ。 不思議なもので、それまで元気だった母も 父の後を追うように翌年亡くなった。 これが夫婦というものなのだろうか。 主人は、どちらかといえば悲しいくらいに人の良い人間だったが、 母の死とともに、豹変した。 それまでの職を辞め、毎日酒浸りの生活に入った。 もちろん収入は途絶えている。 相続税の支払いのため、家を売却せざるをえず、 余った金で毎日の生活は何とかやりくりしている。 自分のものになるとばかり思っていた家がなくなり、 多額とは言えないが、ある程度の金が入ったことによって主人は、 こうなってしまったのだろう。 弟は中学入学と同時にひどく陰鬱になった。 それまで、クラスの人気者として存在していた、 お調子者というキャラクターが中学へ入ると 全く受け入れられなかったのである。 そして、中学三年間、完全な陰鬱状態でいた彼だが、 高校へ入学すると、自我を保つことができなくなり、 定期的に長期休暇を取るようになった。 高校卒業の見込みも回復の見込みも今現在ゼロに等しい。 妹は、両親の死とともに、何かがふっきれたようで、 ありとあらゆることに手を出している。 おそらく、最近の女子高生、最近のコギャルという言葉に含まれる、 ありとあらゆる悪いことを経験しているのだろう。 おそらく、将来、 そんな妹を受け入れてくれるほど世間の心は広くなく、 妹もまた弟同様、もしくはそれ以下の人生を歩むに違いない。 何かが少し狂っただけなのに。 息子は小学校入学時に受けた知能テストが原因で、 今は、いない。 何やら水準をはるかに超えたIQ値を出したそうで、 政府の機関に連れて行かれたということだ。 息子が家に戻らないということを聞かされた私は 一時期、錯乱状態に陥り、その当時の記憶があいまいになっている。 最近では、自分達には、はじめから子供がいなかったのではないか、 そう思うことも多々ある。 この前、といってもずいぶん昔の話だが、 飼っていた猫が、鼠の死体を口にくわえて、 台所へ入ってきた。 驚いた私は、慌てて手にしていたものをすべて放り出し茶の間へ逃げ出した。 しばらくたって恐る恐る台所へ戻ると、 猫が沸騰した天ぷら油を全身に浴びて死んでいるのを発見した。 事故だったにもかかわらず、 それ以来、私は、近所の人間から、 猫殺しとささやかれるようになった。 弟、妹、そして主人までも、 かげで私のことをそう呼んでいるに違いないのだ。 みんな、そうして、私のことを笑っているのだ。 心の中で笑っているに違いないのだ。 世の中すべてのありとあらゆる人間が、私のことを笑っているのだ。 世の中に存在するすべてのものが、私を笑っているのだ。 お日様ですら、私のことを笑っているに違いない。 笑っているに違いないのだ。 ならば、私も笑おう。 自分自身を嘲笑おう。 陰日なたなく、私自身を大いに笑い続けよう。 そして、そうやって毎日を生きていこう。 そうして生きて行けば良いのだ。 ああ、今日も良い天気だ。 良い天気だ。 おわり。 |
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